堀田凱樹のちょっと一言 第十回

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最近はヒトのゲノムの完全解読も完成し、病気と遺伝子の関係も次々と明らかになっている。あと10年もすると、誰でも自分の遺伝子を全部読み出してその情報を標準型(あえて正常とは呼ばない)と比較できるようになるだろう。その費用が数万円という程度に下がるまで生きていたら、ぜひやってみたいものである。もちろんそういう時代が来ると困ったこともおきる。警察は指紋に代えてこの「究極の個人情報」のデータベース化で犯罪捜査が飛躍的に進歩するといって巨額の予算要求をするだろうし、恋人ができるとまずゲノム情報を取り寄せて自分との相性をみる、何か問題があるとあっさりあきらめる、などという危険な時代が到来するかも知れない。やっぱり、こういう技術はあまり安くなって普及しない方がいいのかな?

「普及しない方がいい」と言っても、おそらく技術革新は止められない。
安くなればなるほど、確実にゲノム解読済み人口は増加する。
そして、堀田先生も(気楽な語り口ながら)書いておられるとおり、簡単に他人のゲノム配列にアクセスできる世界は、明らかに危険が大きい。
個人のゲノム情報をどう管理するのか、大変難しいが、比較的近い将来にも現実のものとなる課題だと思う。
何せ、親族の情報だってバレると大変なこともある。
病院が管理する?国が管理する?個人が管理する?
しかし、誰が管理するにせよ、ゲノム配列なんて髪の毛一本あれば読めるんだから、他人のゲノムなんてその気になれば簡単に読める。
気に入らない奴の髪の毛一本抜いてきて、ゲノム配列を解読して、そいつにしか効かない毒薬を入手して…なんてぞっとする話だってありうる。
あーどーすりゃいいんだろ。
もう、全ゲノム配列解読禁止!
あるいは、読んだ配列は保存禁止!
(研究目的の匿名による保存は許可。)
という法令をつくり、破れば重罪。
とかが一番現実的なような気もする。